荒川じんぺい著『森での老い暮らしを前に』(文芸社、2001/6)

装幀家にして週末は山暮らしをする著者によるエッセイ集。「森林逍遥」「山行遊歩」「故郷回想」「都市交遊」「そして、今」という5部構成。いいなと思ったのは怒るところ。開発のあり方に疑問を投げかけるのだが、「ああ、緑がなくなっていく」と寂しがってあきらめるのではなく、「なんでこんなことをするんだ」と憤る。大事なことだ。
以下余談。
p.157「当持の彼女」→「当時」の誤植?
p.185「週間ブックレビュー」→「週刊」が正
p.243僕は、一九〇〇年→一九九〇年が正

原良枝著『彼女の場合 神奈川・文学のヒロイン紀行』(かまくら春秋社、2006/1)

神奈川にまつわる文学作品を取り上げ、その地にまつわる思いなどを注いだエッセイ集。帯の推薦文は松沢成文(神奈川県知事)。
扱われた作品は以下(目次より転載)。私には読んだことがないものばかりなので、この本をブックガイドとして活用したいなあと思った。

安西篤子『化粧』――鎌倉市
篠田節子『妖櫻忌』――鎌倉市
横光利一『春は馬車に乗って』――葉山町
円地文子『朱を奪うもの』――逗子市
石原慎太郎太陽の季節』――逗子市、葉山町
松岡圭祐千里眼』『千里眼 トランスオブウォー』――横須賀市
斎藤栄『鎌倉薪能殺人事件』――鎌倉市
芝木好子『雪舞い』――鎌倉市
岡本かの子『鶴は病みき』――鎌倉市
矢作俊彦マイク・ハマーへ伝言』――横浜市
徳冨蘆花『不如帰』――逗子市
三島由紀夫『午後の曳航』――横浜市
泉鏡花草迷宮』――横須賀市
村松友視『鎌倉のおばさん』――鎌倉市
芥川龍之介『蜜柑』――横須賀市
大岡昇平『花影』――湯河原町
養老静江『ひとりでは生きられない』――津久井町鎌倉市
川端康成千羽鶴』――鎌倉市
神西清『鎌倉の女』――鎌倉市
角田光代対岸の彼女』――横浜市
山川方夫『夏の葬列』――二宮町
田中英光オリンポスの果実』――横浜市
郷静子『れくいえむ』――横浜市
高木敏子ガラスのうさぎ』――二宮町
太宰治道化の華』――鎌倉市
立原正秋薪能』――鎌倉市
伊集院静『乳房』――鎌倉市
中勘助『蜜蜂』――小田原市箱根町
武者小路実篤『その妹』――藤沢市
倉橋由美子『暗い旅』――鎌倉市
夏目漱石『門』――鎌倉市
中里恒子『時雨の記』――大磯町