立川談四楼著『大書評芸』(ポプラ社、2005/3)

作家にして落語家の著者による初の書評集。日本経済新聞、『週刊新潮』、『新刊ニュース』などにこれまで書いてきたものが、いくつかのテーマに分けて収録されている。
いやあ、すばらしい。いままで読んだ書評本のなかで、文句なしにベストだ。この本はだいぶ長いこと積読してきたのだが、なんでもっと早く読まなかったのかと後悔している。自信満々なタイトル、そして「最強の書評家がここにいる!」という帯文にはまったく偽りなしだ。
書評そのもののすばらしさはもちろんだが、それを再録するにあたって、すべての文章に付記がなされているのもすごい。書評に書き漏らしたこと、あるいは掲載後の後日談などなど、あえて本になった1冊を買うことの価値を大いに感じさせてくれる。
ただ残念なのは、p.94の「野生時代」、p.313の「幻冬社文庫」という誤植。しかもそれぞれ2ヶ所ずつ。これは想像だけど、初出時ではなく再録するにあたってのミスではないかという気がする。