元気だと思っていても、人はいつか死んでしまう

あれは、昨年11月のことだった。「早稲田を知る」の講義のなかで、内田満先生は「早稲田大学と政治」という題目でお話をされた。私にとっては、お話を聞く最初で、そして最後の機会になった。ひょっとすると、内田さん自身も、これが早稲田で教壇に立つ最後の機会だったかもしれない。
それを聞いた印象は、いまの若くてひょろっとした教員たちより、よっぽど声を張っているし、まだまだ現役なんだなあというものだった。その最後、内田さんは、北京へ出かけて講義をしてきたお話*1をされた。それは主として学生の熱心さについて語るものだった。ここで私が感心したことがある。私たち日本の、質問すらしない学生に対する嫌味さを、みじんも感じさせなかったことだ。本当に高潔な人なのだなあと思った。

*1:『myb』No.10所収の「ぬくもりのあるアジアへの眼差しを」に詳しい。参考URL:http://www.miyabi-sp.biz-web.jp/