早稲田×慶應(3回戦、神宮球場)

きのうのドラマチックな展開に魅せられ、きょうもきてしまった神宮。12:00過ぎに場内へ入ったが、まあ平日だから当然空いている。座るのは1列置きだ。でも、その空いている列に応援部の人が入ってきて、盛り上げてくれるから、とてもいい雰囲気だ。
1回裏、早稲田はおととい、きのうと続けて初回に2点を許していたが、きょうは0で抑える。
6回裏、左中間を完璧に破るタイムリーツーベースで慶應が1点先制。その後バントで1アウト3塁とされ、ここからさらに1点を追加されてしまう。
8回表、早稲田にもチャンス到来。ノーアウトからスリーベース。1点返して、さらに1、2塁のチャンスを作る。しかもまだ0アウト。だが、4番の田中幸長はバントなのか、ヒッティングなのかはっきりせぬまま凡退。そして5番の小野塚は併殺で同点に追いつけず。残された攻撃はあと1回。
8回裏、前の回に続き、このイニングもランナーを出さず三者凡退に。これで早稲田に流れがくれば…。
9回表、あとがない早稲田、代打攻勢をしかけるが、出塁できぬまま2アウト。もう場内アナウンスを聞かずとも、バッターはこの人しかいない。きのう代打サヨナラホームランの佐伯だ。いつもは様々な応援歌が披露されるスタンドだが、この場面ではダイナマイトマーチの繰り返し。「ここで一発、佐伯」「がんばれ、がんばれ、がんばれ佐伯」と応援。きわどいボールを選んでねばったが、最後は三振。慶2-早1で、完全優勝はならず。
負けはしたものの、胴上げのおこなわれる早稲田のベンチ前。両校が校歌を歌った後、秋季リーグ戦の閉会式がおこなわれる。六大学の選手達が入場してくるのだが、東大のだらしなさには心底腹が立つ。ベンチ入りできなかった選手からすれば、グラウンドに立てるというだけでもうらやましいことなのに、何なんだろうね、あれは。
負けたけど優勝パレードはある。試合後の応援歌メドレー、校歌ののちに、球場を出て、絵画館(http://www.meijijingugaien.jp/seitk/index.html)のまえへ。
スタートは17:30。それまでに1時間ほどあったのだが、提灯(500円)の販売をしたり、あるいは「まだまだ出発まで時間はあります。お友だちを呼ぶならいまのうちです」とトラメガで呼びかけたりしている。もちろん、すぐに始まらない最大の理由は、車道を歩くにあたっての警備体制を整えるためだろう。
パレードは絵画館のまえから、千駄ヶ谷駅前を通って明治通りへ。そこから北上する。
初めは最後尾付近だったから、吹奏楽団の演奏も聞こえず、ただ歩いていて何が楽しいのかと思った。しかし、面白いのは明治通りに入ってから。このあたりで、歩くのが遅い人をよけて、演奏が聞けるぐらいの場所まではきた。
早稲田大学校歌」「紺碧の空」「Viva Waseda」「早稲田健児」「ひかる青雲」に「コンバット・マーチ」などを次々と歌い叫ぶ。それを見つめる沿道の人。「おめでとう」といわれては、「ありがとう」と応える。もう、みんなどうでもよくなっている、きょう負けたことなんて。
新宿の道ゆく人のなかで歌う「紺碧の空」は最高だ。2番の歌詞の後半なんて、いまの私たちの状況そのものじゃないかと思う(ひょっとすると、パレードに使われることをふまえて作詞されたのだろうか)。
応援歌の合間には、目につく建物の名前を連呼して盛り上がる。
「タカシマヤ、タカシマヤ、タカシマヤ、タカシマヤ、タカシマヤ…」
無意味なことに熱くなれるってすばらしい!
「てもみん」伊勢丹」、そしてビルの上のほうに「KEIO」の文字が見えるや、「けいおう、けいおう」の大合唱。もちろん慶應ではなく、京王なのだが、こういうのが通り道にあるのは面白いね。
「(銀座)アスター」(語感が早稲田と似てるからか、これもけっこう盛り上がる)、あとは沿道にいた子どもの名前を呼んでみたり。
そんな感じで明治通りを進み、理工学部のまえまでやってくる。このへんはもう、さすがにホームという感じがする。
左手の建物2Fに「わっしょい」という居酒屋。何が起こったのか、いうまでもない。
「わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい、わっしょい」
店のおじちゃん、おばちゃんが窓から顔を出して手を振ってくれる。だんだんと近づく都の西北
馬場口の交差点を右折、早稲田通りへ。大学から帰ろうとする学生が飛び入りで入ったりする。時刻は19:30ごろ。
相変わらず応援歌を歌っては、店名の連呼が続く。旗を出してくれていた「モスバーガー」、「珍味」「MIYOSHI344」。
西早稲田の交差点を過ぎると、うれしいペットボトルの差し入れがあったり、早稲田スポーツの号外を配っていたり。
馬場下町の交差点を左折し、南門通り。
稲穂のおじいちゃんが紙コップに飲み物を注いでくれる。そんなふるまいをしてもらっては、やはり店名連呼で応える学生たち。
大隈講堂を過ぎ、大隈通り方面へ。
さっき、近くにいた人が「腹いてーな」というのを聞いて、「あっ、私もだ。なんでだろう。歩きつかれてお腹が痛くなったのかな」なんて思っていた。しかし、これはまったくの勘違いだったことがあとでわかる。
ペナントオギワラのあたりで、「早い者勝ちだよ」といわれながら、おにぎりをいただく。紙吹雪が舞うなか、それを口にする。
そうだ、昼に何も食べていないんだった。そりゃあ、腹が痛いわけだなあ。
「ホルモン(商事)」なんていうネーミングセンスあふれる店は、やっぱり連呼の対象になる。
グランド坂をあがって、北門へ。構内へ入るやいなや学生からは「休講! 休講!」。まあ、こういうときのお決まりのセリフみたいなもんか。
まっすぐ進み左折。6号館と7号館の間を通り右折。7号館と3号館の間を進んで左折したところ(要するに正門のあたり)が祝賀会場。そのままだと、後ろの人が見えないので、特設のステージみたいなものが設けられていた。
学生たちが正門付近にそろい着席。そして「紺碧の空」を歌い、野球部の面々を迎える。
記憶が定かではないけど、最初に白井のあいさつだったか。「学生注目」をやって、それなりにのりのいい白井だが、なにをいっているのかはよくわからない。聞こえるのは、学生から起こる「休講」コールだけ。
宮本と監督があいさつというか、お礼を述べる。宮本は試合に出ている選手だけではなく、部員全員で勝ち取った優勝だということを強調していた。
そのあとは、司会から選手がひとりずつ呼ばれ、まず中央に出る。そして「出身校/名門!」のあと、何かしゃべる。たとえば大谷は自分のせいで早慶戦に負けた、と気を落とし、逆に細山田は、先輩の両エースをリードした自分のおかげで優勝したと調子にのったふりをしていた(あとでちゃんと訂正)。
やっぱり、「みなさんの応援のおかげで優勝できました」「明治神宮大会も応援よろしくお願いします」といったことをいう選手が多かった。あとは浪人して早稲田に入ってよかったとか、選手の呼びかけで白井に向けて「休講」コールをしてみたり。
うれしかったのは、打撃投手、トレーナー、学生コーチといった人たちの声を聞けたことだ。試合を見ているだけじゃわからなくても、こういう裏方さんたちがいて、野球部がなっているんだということを、心に留めておきたい。
最後に、「紺碧の空」「早稲田の栄光」「早稲田大学校歌」と歌い、もう一度「紺碧の空」で、選手たちが壇上を後にする。時刻は21:25ごろ。
ああ、ほんと、授業に出ないで、楽しい1日だった。