華恵著『本を読むわたし My Book Report』(筑摩書房

本にまつわる思い出を記したエッセイ×14。重松清の本は2冊、『小さき者へ』と『卒業』が取り上げられている。
文章がうまいというのはもちろんなのだが、それだけではこんなにいいものは書けない。やはり大きいのは、彼女が物事を見つめる視線だ。
外見から、ときに「ガイジン」と呼ばれたりもする。彼女はそれを差別だなどと書かない。そうはせずに、そのような扱いをされて何を感じるのかをきわめて丁寧な表現で書き連ねる。
このクールな視線は、他の物事に対しても用いられる。日常の人間関係で、私たちが口に出さずにいることだ。それが書かれているから、読ませるのだ、この本は。
あと、私にとって興味深いのは中学受験をめぐるいくつかの記述だ。親ではなく、当事者の書く中学受験なんてほかにはないのではなかろうか。若き書き手をありがたく思う。

「こども哲学」シリーズ(朝日出版社

重松清が日本版監修を務めるシリーズ。このたび、全7巻のうち、3冊目の『人生って、なに?』(文:オスカー・ブルニフィエ、訳:西宮かおり、絵:ジェローム・リュイエ)、4冊目の『いっしょにいきるって、なに?』(文:オスカー・ブルニフィエ、訳:西宮かおり、絵:フレデリック・ベナグリア)が刊行された。
今回も巻末に「おまけの話」がついている。『人生って、なに?』のほうは、『ハッピー大家族物語』という番組を快く思わない3人家族が。
『いっしょにいきるって、なに?』の巻末は、『きみの友だち』的な世界観。女の子9人グループ。自分だけがトイレにいったら、カゲグチをいわれるかもしれない。どうしようと思い悩む。