いまさら、7/29の三浦しをん×角田光代トークショー「書評の愉しみ」のまとめ。『三四郎はそれから門を出た』(ポプラ社)の刊行記念。
このふたりのトークショーは昨年4/29以来で、場所もそのときと同じ青山ブックセンター本店脇のカルチャーサロン。14:30に開場。500円払って中に入る。女8男2ぐらいの感じ。
もらった付録には、しをんさんの直木賞を祝う言葉が並ぶ。そのなかで、長崎訓子はこんなことを書いている。
「三浦さんは毎回、原稿が早めに来ていたので、ちゃんと読んでイラストを描けました」
原稿が早めに来ない作家って誰なんだろうなあ、なんて思ってみる。すると、『文藝春秋』で連載している「あの人」の顔が浮かんだ。遅筆なのかどうか知らないけどさ。
15:05ごろ、おふたりとポプラ社の矢内裕子さんが壇上に。左から、角田さん、しをんさん、矢内さんの順。
書評中で書き手たる自分をどう表記するか、とか、それぞれの評者としての心がけなど、話の内容は主に書評論。だけど、このふたりだから、堅い雰囲気にはならず。会場には笑いが絶えない。そのなかで私は聞きながら、しをんさんに感心しきりだった。
しをんさんは実に豊かな表現能力の持ち主だ。これは私に限らず、ウェブのエッセイ(しをんのしおり)などを読んでいる方ならば、誰もが思うことだろう。
でも、実際にしをんさんの話を聞くと、もっとすごい。エッセイで私たちを笑わせてくれるあんな表現やこんな言葉が、どんどん繰り出されるのだ。
ああいう笑える言い回しは、パソコンを前にしてうんうん考えて使っていると思っていたけど、そうではない。すべて直感なのだ。本人を前に話を聞いてみて、そのことがよくわかった。三浦しをんはすばらしい。
16:15、会場からの質問に。「ふたりのバッグの中に入っている本は?」に対し、ふたりは別々の事情できょうは本を持ってきてないとの答え。映画評についての質問では、ふたりとも書評とは違った捉え方をしているのが意外だった。

たまに、けっこうな厚さのある単行本なのに、しおりがついていないものがある。私はそういう場合、「んまあ、どういうことかしら!」とひとしきり憤ってから、カバーの折り返し部分を仕方なくページに挟む。この方法だと、本が傷んでしまう。やはりなるべく、本にはしおりをつけておいてもらいたいものだ。ぷんぷん。(『三四郎はそれから門を出た』p.124より)

と書いてあるこの本は300ページちょっと。十分に「厚い本」の部類に入るのにもかかわらず、なんとしおりがない。矢内さんが、つけると200円ぐらい高くなるとか、そんな言い訳としをんさんへの謝罪をしていた。
最後にしをんさんが、今回の刊行記念の本を朗読。矢内さん曰く、「昨年は角田さんがやって好評だった」らしい*1この朗読。しをんさんも声の綺麗な人だから、素晴らしいリーディングが聞けるんじゃないかと期待したが、照れ笑いが混じってしまい残念。
16:40終了。しばらく休憩ののち、サイン会へ。角田さんは、既刊本なんでも、1人2冊まで。しをんさんは、『三四郎はそれから門を出た』1冊だけが対象。それ以外は、普段なら、ごねればもらえるみたいな雰囲気があるけど、(8/5に直木賞受賞記念のサイン会があることを考慮して?)この日はことわっていた。
会場内で売られていたのは、角田さんの著書が、ポプラ社の『古本道場』と、あとは『ドラママチ』『夜をゆく飛行機』『prints21』の角田さん特集号。しをんさんの本は『三四郎はそれから門を出た』『まほろ駅前多田便利軒』と、あと文庫本が1冊。
私の後ろに並んでいたのが業者だったんだけど、彼らがごねることごねること。「せっかく買ったのに何で2冊までなんだ」とか。
ごねるのはいいけど、かわいくごねてほしいね。「えー、もう1冊ぐらいいいじゃないですか。そんなこといわないで、ねっ、お願いします」って。

*1:いろいろな意味で苦笑。