町田康著『東京飄然』(中央公論新社)

タイトルと目次からして東京旅日記かと思いきや、そんなことはまったくない。まず、舞台が東京だけではなくその近郊も含まれている。さらに、書かれているのは、旅した場所のことというよりも、そこで町田さんが何を感じたかといういわば頭の中のことである。
だから情報を求めてこの本を読んでもまったく役に立たない。ただひたすら、町田さんの文章に身を預け、快楽にふけるのみ。