坪内祐三著『極私的東京名所案内』(彷徨社)

何から書こうか。まずは、装丁がとてもいい。私の中では、今のところ、オールタイムベスト1。といっても、まだ20年ちょっとしか生きてないけど。
この本は、東京古書会館でやっていた古書展で先行販売みたいなことをしていて、そこで入手した。
その後、古書展の会場を整理してスペースを作り、坪内さんと亀和田さんのトークショーに。19:00から約1時間ほどということだったのだが、20:00を過ぎてもまったく終わる気配がない。いや、亀和田さんが、まとめにかかるんだけれども、坪内さんはそれには応じず、また話を広げていく。3度ほどあった亀和田さんのまとめ的発問に対して、話を終結させる方向にもっていかないのを見て、これはもう1時間ぐらいかかるかな、と思っていたら、「ふたりはいつも、こんな話をしています」となって、突如終了。こういう対談の終わらせかたもあるんだなと、参考になった。あと、こういう様子は雑誌に発言部分だけ載っていても伝わらないから、やっぱり生で話を聞くっていいよな、とも思う。
本の内容は名所案内というよりも、むしろ文学散歩。知識のない私には、字面を追うことぐらいしかできなかった。それでも、対談を聞き、この本を読んでよかったなと思うのは、トークの終わり間際に話を広げにいく坪内さんと、本のなかで、こんな言及もあるんだぜといわんばかりに、引用を繰り出してくる坪内さんに、一貫するスタンスみたいなものを感じられたことか。