森達也著『世界が完全に思考停止する前に』(角川書店

是枝裕和斎藤美奈子重松清の3人が、帯に推薦文を書いている。
森さんが、きょうから1週間後の10/13、早稲田にくるということで、生協では著作のフェアを開催中。そのなかに置いてあったから、購入してみたのだが、これが思わぬ収穫。久々に、ぜひ人に薦めたいと思う本だ。
内容は主としてメディアについての評論集。『週刊現代』や朝日新聞に掲載されたものが多く、分量は2、3ページ程度のものが中心。
この本の何が「人に薦めたい」と思わせたのか。それは森さんが、無意識のうちに社会で共有されている考えから、驚くほど、自由でいる、解放されているということだ。本人はそのことを「鈍い」と表現しているが、理由はどうあれ、通念からはずれたことを書くのに、他の人なら気張るであろうところを、さらっと書いてしまっている。
メディアが与える情報を鵜呑みにしてはいけないし、ほんの少しの注意があれば、そうした情報のおかしいところは浮かび上がってくるんじゃないか。森さんのさらりとした筆致を見て、そんなことを思う。
あと、もうひとつこの本のすぐれたところをあげると、社会通念と森さんの考えとが合致するようなことは、すでにどこかで他の人が書いているだろうから、というふうに、ネタにするのを避けている点。だから、書かれていることにはすべて、オリジナリティが溢れている。
森さんの弱点というか短所は、分量調整が苦手なのかな、ということ。ほとんど本題と関連のない話をして、字数合わせをしたり。まあ、いかにも自分は字数あわせをやってる的な書き方だから、読んでいて不快感はない。しかも、本題ではないほうの話も面白いので、ひょっとすると、この弱点は克服されないほうがいいのかもしれない。

10月6日付日本経済新聞夕刊

エンジョイ読書内「ベストセラーの裏側」というコーナーで、『その日のまえに』が取り上げられている。「王様のブランチ」で松田哲夫が紹介したことのほか、単行本化に際しての作品のセレクト、担当編集者伊藤淳子さんのコメントなど。眼鏡をかけていない重松さんの写真が新鮮だけど、たぶん直木賞取ったころのものではないかと思う。

オール讀物』10月号

ブックトーク重松清が登場。『その日のまえに』(文藝春秋)について、全1ページ。
小説現代』10月号と、『小説新潮』10月号は、重松清がらみのものがない(小説現代新人賞の告知はあるけど)。というわけで、今月は少しさびしい。

『青春と読書』10月号

第3回開高健ノンフィクション賞の選考結果が載っている。選評や受賞者のコメントなど、すべて『小説すばる』10月号と同様のもの。

『ビフォア ラン』(KKベストセラーズ):8000円

せどりをやっている人によるblog。アマゾンのマーケットプレイスにて8000円で売却とのこと。
http://blog.livedoor.jp/tonbodou/archives/50112793.html
一応、説明しておくと、マーケットプレイスとは、いわば古本が売られているところ。もともと出品がされているものならば、それを買えばいい。しかし、世の中には、入手困難となってしまった本がたくさんある。
アマゾンのマーケットプレイスでは、出品がされていない商品について、「○○円までの値段で古本が出品されることがあれば、買います」という予約ができるのだ。
単行本の『ビフォア ラン』は、自分も出品待ちで2年以上前から予約入れてたけど、これより低い値段だったので、縁がなかった。
それでも、「ああっ、もうちょっと高い値段で予約しておけばよかったな」とは思わない。それは価値がそんなにないと考えるからではなく、本の状態を確認できないから。ヤフーオークションなんかであれば、商品の画像を見ることができるので、まだまだまだまだ金額を出す余地があるけど。
まあ、何はともあれ、購入できた方にお祝い申し上げる。って、このblog見てるなんてことはないか。

早大生協所沢店で

10月の著者フェアが重松清になっている。文庫本15%オフ。
http://wcoop.weblogs.jp/shop_info/2005/10/index.html#a0000960369
文庫本だけってのがけちだよなあ。