『その日のまえに』(文藝春秋)
7編からなる連作短編集。『別冊文藝春秋』に掲載されたもののうち、4編が削られたことになるのかな。
私鉄沿線を扱ってはいる。けれども、それ以上に大きな、死への直面という要素が全編を貫いているので、(私鉄沿線シリーズの前作である)『送り火』よりも、『卒業』の延長線にある作品として読んだほうがいいと思う。
重松清は『卒業』を書いたことで、死を書くということへの迷いが、完全に吹っ切れたのではないか。まったくよどみがない。それに、死そのものに一辺倒になるのではなく、付随する出来事にも目が向いている。それゆえなのか、大事な人が誰一人として死んでいない私にとっても、死に向き合う様子がリアルに感じられて、これから現実に起こることの予習をするかのように読めた。今度は長編小説の体裁で、死に取り組んだらどんな作品になるのか、見てみたい。
2編目は、重松作品には珍しく、成人女性が主人公。ちょっと奥さんをモデルにしてるのかなとも思った。表題作の夫婦も、自分たちのことが反映されているんだろうな。だから、どうってことはないんだけど。あとは、相変わらず登場人物のあだ名に対するこだわりがすさまじい。最初の「ひこうき雲」は特に。
『本の話』8月号には、担当編集者による作品のコメントが載っていた。おそらく、下記URLと同様のものだと思われる。
http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/24/21/4163242104.shtml
7/26「夏の文学教室」
いけなかったんだけど、下の方がとても詳しく書いてくれた。
id:witmiffy:20050726
コメントを受け付けてないみたいなので、トラックバックの形で感謝を申し上げたい。
子どものこと話そう
いよいよ最終テーマに。
馬場俊英「BOYS ON THE RUN 4 SONGS」
車で海岸線を走りながら、聞きたいような作品群。3曲目がいい。重松清のコメントは、ジャケットに貼り付けてあった。
http://music.yahoo.co.jp/jpop/streaming/flm/20050809/flmstr001.html
『BRIO』
現在発売中の9月号によると、8月号に続き、来月(10月)号にも重松×山崎の対談があるそうだ。このまま隔月のペースで掲載されるのだろうか。