穂村弘著『本当はちがうんだ日記』(集英社)


小説すばる』や『本の雑誌』などに掲載されたものが中心のエッセイ集。
面白いところいっぱいあったけど、とりわけ「初版帯なしの本と、重版帯ありの本を合成して、初版帯付の本を作り上げるときに、どきどきした」(p.153を要約)というくだり。
これわかるなあ。積極的にはこういうことをやったりはしない。けど、経験はある。
対岸の彼女』が直木賞の有力候補だったときに、あちこち初版本を探し回った。ようやく見つかったけど、棚に1冊だけあったものだから、カバーがぼろぼろ。それでも、しょうがないので購入。
その後、直木賞受賞が決まり、サイン会が行なわれることに。けど、参加するためには、もう1冊買って、整理券をもらう必要があった。
それで、新たに買った美品のカバーをはずし、初版本のほうにつけかえた、というわけだ。このとき、確かに、穂村さんのいうようなどきどきがあった。何か悪いことをしているかのような。
対岸の彼女』で思い出したけど、漫画版が8/29に出るそう。関係ない話だけど。
余談だが、カバーをはずすと、穂村さんの似顔絵が描かれていて、すてき。