サタミシュウ=重松清と考えるのは、安直だろうか

野性時代』1月号から3月号初出の、覆面作家サタミシュウによる『スモールワールド』(角川書店)が刊行された。

ある女性作家は「誰なの? Iさんじゃないの? 教えてよ!」(下記のblog、12/13より)

とあるけど、私も当初はIだと考えた。彼は女性ファンが多いから、イメージを損なわないために匿名にする意味が十分にある。
だけど、彼は上の3ヶ月に同誌で「美丘」を連載してるんだよね。それに加えて、「スモールワールド」を書く余裕があったのかどうか、疑問だ。
で、私が重松清だと考える理由は、前年12月号で「身も心も」をなぜか第1部完にして、「2005年後半に再開を予定しています」としてあるからだ。これは「スモールワールド」を書くために、一時休載したという見方ができるのではないだろうか。
この「スモールワールド」、私も同誌1月号が出たときに立ち読みした。このときは、文末に過去形を用いる文章をいくつも続ける癖があったので、重松清ではないと思った。
だけど、1冊にまとまった本をざっと見てみると、使われている単語はすべて重松清ボキャブラリーのなかにあるように感じられる。
ただそれだけのことで重松清と考えるのかという批判は甘受する。それで、仮にサタミ=重松だったとして、既に『愛妻日記』(講談社)『なぎさの媚薬 敦夫の青春研介の青春』(小学館)を発表している彼が、今さら匿名にする必要があるのか、という疑問が浮かぶ。
だが、匿名にするのは、くだらない理由なのかもしれない。『愛妻日記』を出したときに、義父だか、義母だかから、顰蹙を買ったといっていたから、さらに文句をいわれないように、と。
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