坪内祐三「編集・ジャーナリズム論」初講(4/13)

きょうの5限(16:20-17:50)、早稲田大学15号館201教室にて。
4限が空きだったので、学読(がくどく、学生読書室の略)で本を読んでいた。けど、授業の時間がきても、ページがきりのいいところにならなかったので、5分ほど遅刻して教室に入る。ぱっと室内を見渡して「うわあ、満杯だな」って感じだったけど、こういうときでも前のほうはみんな座りたがらないので、空席があった。
坪内さんはまだきていなかった。暇なので、さっきの本の続きを読む。まだこないのかな、ひょっとして初回から休講かもと考えていると、予定より25分ほど遅れて、坪内さんが入ってきた。椅子に座り、教卓のマイクを口元に固定して、まず「こんにちは」と挨拶。服装は上下ともに黒。

授業全般

この授業には300人ぐらい登録してるけど、これを50人以下に減らしたい。できれば15人とかになってくれるとやりやすい。というのも、80年代以降、趣味の細分化が進んだから、本当に興味を持って授業を聞いていられるのは、このぐらいの人数だと思う。
扱うのは、明治以来の出版文化史。自分で教科書を書けばいいんだけど、時間がなくてできないので、プリントを作ってくる。

顔は雑誌に出てたりして知ってたけど、声を聞くのは初めて。だけど、「あ、こんな声してるんだ」とかはまったく思わなくて、違和感なく受け入れられた。

評価

かって、事務所から電話がかかってきて「レポートを出さなかった学生が、『単位くれないと卒業できないので、どうにかしてください』といっている」っていうから、おととしは、レポートを出さなくても合格で、可(の単位)をあげることにした。そしたら翌年、また成績付け終った後に事務所から電話で、「卒業したくないから(単位をもらわないために)レポートを出さなかった学生に単位がきた。成績を不可にしてほしいといっている」なんてことだったので、今年から変えます。
レポートは前期後期で2本。ひとつは後期の最後の授業で提出。もうひとつは前期ならいつ出してもいいです。次回でも。それで片方出せば可以上の単位。2つとも出さなかったら不可ということにしたいと思います。なので、卒業したくない人は、間違ってレポートを出さないでください。前期のやつは800字以上で題は自由。

「不可にしてくれ」っていうのは、作り話なのか実話なのか、判断しかねる話だよな。レポートでは、今『oricon style』として出されている雑誌の、小池社長死去以来の迷走について書いてみたい。

学生を減らしにかかる

プリント配ろうと思うんだけど、毎回5枚もの紙を300人に用意したら1500枚。金もバカにならないし、もってくるのも大変。なので、5月の連休明けまで適当なことやってます。質問がないか聞いたり、あと、学生を当てたりね。当てられると出たくなくなるでしょ。

ここにきて、坪内さんが25分遅れてきた理由に気がついた。早稲田では、授業開始から30分たっても教員がこなかったら、その講義は休講扱いというきまりがある(明文化された規則なのか、あるいは暗黙のルールなのかはわからないけど)。学生はそのことをわかってるから、15分とか20分たってもこなかったら、きょうは休講だろうなと、勝手に見切りをつけて帰ってしまう。つまり、彼は25分遅れという、休講になる寸前の時間に意図的にくることで、あらかじめ学生を減らしにかかっていたのではないだろうか。まあ、この想像が正しいかどうかは、次回も遅れてくるのかどうなのかを見ればわかることだけど。

アンケート

坪内さんがしゃべり始めてから25分ほどたった17:10ころ、アンケート用紙が配布された。
学部、学科、学年、名前の後、最初は単語が列挙してあって、それについて知っていることを書く、というもの。何のことかはわからないけど、名前を見たことがあるものは○をつけろ、と。
植草甚一」「滝田樗陰」(って何のことか、私もわからないんだけど。教科書は一読しといたほうがいいのかも)から「ダ・カーポ」「神田神保町」というものまで、全部は覚えていないけど、10数項目だった気がする。用紙出さないで持って帰ってくればよかったな。
その後「文壇アウトローズとは誰と誰のことか」という質問と「授業への要望」を書く欄が、若干広めに取ってあった。
プリントが全員にまわったあたりで、「帰りたかったら帰っていいですからね」というと、アンケート出して半分ぐらいの人が教室を後にする。

質問

「今年でこの授業は最後なのか?」
(正確に聞き取れなかったが)もともと誰かの代講でやっていたものだけど、今は違うらしい。だから、来年度も彼はいるようだ。今年度は水曜日に用事があって聞けないという人は、来年度にぜひどうぞ(って、なんで私が勧めるんだろうか。坪内さんがいうことだよな)。
「浅羽(通明?)さんよりも僕の授業のほうが役に立ちますよ」とさらりといっていた。早稲田で教えるメリットとして、図書館の雑誌の書庫がすごいことをあげる。国会図書館と違って、棚から取ってきて機械でコピーできるから使い勝手がいいけど、自分が見る雑誌はあまり利用がないみたいで、今まで中央図書館にあったものが、本庄に移されたりなんかしたとか。
国会図書館いったことある人?」って坪内さんが挙手を求めたら、けっこうな数の人たちが手をあげていた。私は『週刊現代』や『週刊ポスト』『女性自身』を読みにいったりするけど、みんなはどんな雑誌に目を通すんだろうか。
「印税で買った一番高いものは?」
質問した人は、相当気合入れて聞きにきてるなあって雰囲気。これについては直接答えることはせず、印税だけじゃなくて、雑誌に雑文書いて原稿料をもらってもいる、というコメントだったかな。なんか「雑文」っていう呼び方にこだわりを感じた。
「好きな作家は?」
上のふたつが男なのに対し、この質問をしたは女性。「1人に絞れない」とのご回答。
そんなこんなで3分残して、17:47に終了。話はとても面白かったので、本格的な授業に入るという連休前までは出てみたいと思う。その頃になったら、他の科目のレポートが忙しかったりして、出席するのが面倒になっているかもしれないから、その後も出続けるかどうか再考するつもりでいる。