ジャイアンツ2005年シーズン最終戦(10/5v.s.カープ)

ウグイス嬢「ジャイアンツ、ピッチャーの交代をお知らせします。ピッチャーは桑田。背番号18」
実況「さあ、5対2。ジャイアンツ3点リードで9回の表の守備を迎えました。そしてマウンド上は、今シーズン限りでの引退を決意した桑田です。プロ20年目。今シーズンは開幕当初から、思うような活躍ができず、2軍生活が続いていました」
実「きのうの引退会見では、『力を出せずに申し訳ないことをした』『ファンの期待に応えらない悔しさでいっぱい』と目に涙を浮かべながら話していました」
実「堀内監督自ら、桑田の投球練習を見守ります。一球一球丁寧に、ボールの縫い目を確認する仕草を見せながら、阿部のミットに投げ込んでいきます。マウンド上の桑田」
実「さあ、投球練習終わって、同じく今シーズン限りでの引退を決めたファーストの清原が桑田のもとへ駆け寄って、何か言葉を掛けて、ボールを渡しました」
ウ「9回の表、広島東洋カープの攻撃、5番レフト、前田。背番号1」
実「さあ、ピッチャーの桑田、阿部のサインを見て、第1球投げました。内角真ん中、ストライク。前田、見送りました」
実「放送席には、長嶋茂雄終身名誉監督においでいただきました」
実「長嶋さん、きょうの桑田をご覧になっていかがですか」
長嶋「うーん、まだまだやれるんじゃないかなって気がするね。野球に対するパッションが薄れちゃったのかな」
実「そして、同じく引退を決めているファーストの清原ですけども」
長「彼の場合は、体力的な限界というよりも、やっぱり球界に貢献したい、自分がいると若手が育たないということですから、非常に男らしい決断だと思いますね」
実「ピッチャー桑田、振りかぶって第2球投げました。真ん中低め、前田空振り。ストライク」
実「バッター前田に対して、2ストライクと追い込みました。桑田」
実「桑田、第3球、投げました。真ん中高め、前田のバットが空を切りました。三振。1アウト」
実「前田を三球三振に取りました。桑田」
実「そして、ファーストの清原からボールを受け取ります」
ウ「6番サード新井。背番号25」
実「ゲストの中村順司さん。今の桑田、清原の表情、どうご覧になりますか」
中村「いつもと特に変わらずやれていると思いますね。PL時代からずっと同じですよ。やっぱり野球が好きなんでしょうね」

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実「新井、空振り三振。2者連続三球三振です。マウンド上の桑田」
実「そしてカープネクストバッターズサークルは、こちらも今シーズンで引退する野村の姿が見えます」
ウ「広島東洋カープ、バッターの交代をお知らせします。森笠に代わりまして、野村。バッターは野村。背番号7」
実「さあ、9回の裏、2アウト。桑田、清原、そして野村と、プロ野球を支えてきた選手たちが揃い踏みしました」
実「ピッチャーの桑田、第1球投げました。野村、打ちにいった。セカンド正面に強いゴロ。仁志つかんで、ファースト送球。清原取りました。3アウト。試合終了」
実「ファーストベース上では、清原と野村ががっちりと握手。そして清原が桑田のもとに歩み寄り、ウイニングボールを手渡します」
実「ジャイアンツの選手たちがマウンド上に駆け寄ります。桑田の胴上げが始まりました」

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さあ、東京ドームホテルには、清原選手、桑田両選手にお越しいただきました。
アナウンサー「まずはお二人とも20年間お疲れ様でした」
桑田、清原「ありがとうございます」
ア「ではまず、桑田選手からうかがっていきたいと思います」
ア「あらためて、20年間お疲れ様でした」
桑「いや、活躍できたかなというシーズンもあれば、力を出せないシーズンもあって、ファンの皆さんには迷惑をかけたと思います」
ア「きょうのピッチングを見ると、まだまだやれそうな気もしましたが、そのへんはどうでしょうか」
桑「そうですね。でもプロに入ったときは、まさかジャイアンツ一筋でこんなに長くやれるとは思ってませんでしたから。ファンの皆さんの声援のおかげでここまで続けられたんだと思います」
ア「97年からは、PL時代の同僚、清原選手が加入しました」
桑「そうですね。やっぱりファーストにキヨがいてくれると、本当に心強かったです。キヨが頑張ってるから、僕もそれに刺激されて、20年も現役でいることができました」
清「いやいや、僕の方こそ桑田に刺激されて、ここまでやってこれました」
ア「では、最後にテレビの前のファンの皆さんに一言お願いします」
桑「本当に、僕みたいな選手に20年間も声援を送ってくれてありがとうございました」
ア「続いて清原選手です。お疲れ様でした」
清「どうもありがとうございます」
ア「現役生活を振り返ってみていかがですか」
清「桑田同様、僕もこんなに長くプレー出来るとは、思ってませんでした」
ア「ジャイアンツに移籍してきたときには、だいぶ苦しい経験もしたと思いますが」
清「そうですね。ファンの皆さんの、厳しく温かい応援がなかったら、こんなに長く続けられなかったと思います。本当に、ファンの皆さんには、感謝してます」
ア「清原さんの中で、一番思い出に残る場面をあげていただくとすると、どのシーンになるでしょうか」
清「そうですね。僕個人としては、1500本安打、2000本安打が印象に残ってますけど、チームが2000年、2002年と優勝したことが一番うれしかったですね。状態が悪い中でも使い続けてくれた長嶋監督、原監督には、本当に感謝しています。今シーズンは優勝できなくて、堀内監督、そしてまたファンの皆さんには本当に申し訳ないと思っています」
ア「きょうは、本当に夜遅くまで清原選手、桑田選手、お付き合いいただき、ありがとうございました」
桑、清「ありがとうございました」

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桑田真澄清原和博ジャイアンツを、そして日本のプロ野球界を支えてきた2人が今、ユニフォームを、脱ぐ。