新潮文庫編『文豪ナビ 太宰治』(新潮文庫

(情報出所http://kakko.jugem.cc/の11/30)文豪ナビシリーズについては下記参照してください。本全体の感想としては、420円(税込)なら、買って損はないというところかな。http://www.shinchosha.co.jp/wadainohon/101000-5/index.html
この本には、重松清太宰治について書いたエッセイが収録されている。これはいいと思う。だけど、もうひとり田口ランディが書いたほうは、あまりいい印象を持たなかった。というのも、冒頭に「内容を忘れてしまったから、この原稿を書くために、太宰の作品を読み直した」という趣旨のことが書いてあるから。これ自体は、彼女が誠実でありたいことの表れで、いいことなのかもしれないけど、あとに続く文章がそれによってうそっぽく感じられてしまう。
重松清太宰治っていうと、「桜桃忌の恋人」*1を思い出す。太宰を扱うゼミは、例年人気だったけど、そこの教授がゼミの女性学生と深い仲になってしまい、自殺を図ろうとする、というところから話が始まったような覚えがある。
その太宰を扱う人気ゼミというのは、重松清自身の経験に基づいているのかな。このエッセイは、太宰のことをそれほど知らずにも書けるだろうし、逆に知り尽くしているからこそ、太宰の魅力はここにあり、みたいなふうに書いたようにも思えるし。まあ、よく考えてみれば重松清早稲田文学にいたんだから、ゼミで扱っていようがいまいが、太宰なんて読んでいて当たり前なのかもしれない。

子どものこと話そう

兄弟姉妹でお年玉の額に差をつけるか。私も2歳下の弟がいるので、興味あるテーマ。

読む情熱大陸

田場裕也と佐藤素子の回について。放送を見ていないと、何もわからない。名前聞いても、どんな人なのか想像すらつかない。

イリアムサローヤン著、吉田ルイ子訳、川本三郎解説『リトル・チルドレン』(ちくま文庫

重松清が『人生のつくり方』(藤原和博と107人の仲間たち編著、サンマーク出版)で薦めていた本。といっても、書評とかそういうのではなく、タイトルがあげられてただけだから、どういう本なのかなと思って、読んでみた。
表紙にはウイリアムサローヤンとあるが、ウィリアム・サローヤンという表記のほうが一般的なようで、キーワードもそちらで登録してあるようだ。1908年アルメニア系移民の子としてカリフォルニアで生まれ、1934年作家デビュー。1981年没(本書の著者プロフィールより転載。キーワードは没年が82年になってるけど、どうしてだろうか)。この本は彼が駆け出しの時期、そして20代も終わりに差し掛かった37年に刊行。84年に日本語に訳され、90年に文庫化になった(訳者あとがきより)。
つまり、半世紀以上も前に書かれたもの。にもかかわらず、楽しめた。本書は17の短編からなっている。そのどれもが国境とか時代を超えて、共感するところがあった。ただ後半のほうは、10ページとかいう短い作品が多いので、「もうちょっと長いものを読みたいな」なんて思ったりした。
カバー装画は和田誠、装幀は安野光雅

*1:同一タイトルでふたつの話がある。ひとつは『世にも奇妙な物語C』(太田出版)初出で、のちに「桜桃忌の恋人'92」と改題して『かっぽん屋』(角川文庫)に再録されたもの。もうひとつは『日曜日の夕刊』(毎日新聞社新潮文庫)に収録されたもの。この辺の話は『かっぽん屋』(角川文庫)のA面とB面の間のコメント参照。ここでは前者を指すということで。