糸井重里と対談

17日、青山ブックセンター本店(コスモス青山B2)にて、15:00からおよそ1時間ほど。糸井さんは私の父親がファンらしく、私が幼稚園生だったころ(15年前ぐらい)『MOTHER』の攻略本を買ってきてくれた。ソフトを持っていないにもかかわらず。『MOTHER2』は自分で買ってやった。最近だと(といっても2年前か)『海馬』をこれも親が送ってきた。そういうわけで、ほぼ日は見ていないけど、糸井さんは身近な存在だったりする。
南渋谷駅(JRの3、4番線ホームが遠くに離れていることからきた蔑称)から歩いて、途中で昼飯を食べ、さらに10分ぐらい歩いたところで到着。
店内歩きながら、いったいどこで話すのかなと考える。椅子がたくさん置かれたホールみたいな場所はないので、もしかしたらイベントやるのは六本木店だったかと不安になった。そうしていると、ちょっとした段の上に椅子がふたつとテーブルが置かれているのを発見。通路の中で一番、買い物客の妨げにならなそうな場所なのかな。客に椅子はないので、立ち見になる。
20分前ぐらいから人だかりができてきたので、その中に混じって開始を待つ。始まる前にはこんな話があった。id:akkyworld:20041017
これ読んで感心した。「携帯電話等での撮影はうれしくはない、ということです」と店員が言うのを聞いても、
店員「写真撮影を禁止するとかの説明をした方がいいんでしょうか」
糸井「まあ、うれしくはないねえ」
というようなやりとりが控え室であり、その中で偶然に出てきた言葉なのかなぐらいにしか私は思わなかった。 なるほど、糸井さんが考えに考えたかどうかはしらないけど、絶妙なスパイスをきかせた言葉なんだ。
時間通りに糸井さん、重松さんそろって登場。立ちながらふたりが口々に、周りを人に囲まれていることについて感想を述べる。ああ、糸井さんってこんな声をしているんだって感じた。以前、テレビの釣り企画に出ているのを見たことがあったはずだけど、声は覚えてなかった。
席に着いた後は、以前(今年7月)京都でふたりが対談した時に、ちょうどABC閉店のニュースが飛び込んできたという話題から始まる。
「いろいろあったけど、こうして復活してよかったじゃないか」
「ネット書店だと、買うと決めた本を検索して購入するだけ。しかし、こういう書店だとつながりのある本が見えてくる」
話の中で、具体的な書名が出ると、店員が店内を駆けずり回って、その本を探してきて、客に見えるようにぴらぴらめくってくれる。梶井照陰写真集『Nami』とか。糸井さんと重松さんの本は脇にストックされていたので、すぐに出てきたけど、『チーズはどこへ消えた?』は発売から日が経っていることもあり、店内になく、糸井さんがタイトルを笑いのネタにしていた。
「ネット書店の画像だと帯が削られてしまうけど、この帯というものがあってこその装丁なんだ」
平野甲賀さんが『愛妻日記』の装丁(特に表紙の文字)に苦心してくれた話をする。そうすると店員が平野さんに関連した本を持ってきたて、客に見せる。そこから話は官能小説を書いていることについて移っていく。そうすると店員が週刊ポストをもってくるという素晴らしい対応。
「締め切り間近に書きあがるから、自分のところにはもうゲラが回ってこなかったり」
そんな流れで重松さんが『私が嫌いな私』『トワイライト』『世紀末の隣人』で起こったミスについて話す。これは貴重な話だった。
「締め切りが迫ってきて、まだ書きあがっていないと、どういうイメージになるのかだけでも挿画の人に伝えなくちゃいけない。そしたらネコの絵を書いちゃったので、ストーリーに組み込まなくちゃいけなくなった。」
と話すと、素早く店員が別冊文藝春秋11月号を持ってくる。
そんな感じで、随時ABCを励ましつつ1時間過ぎていった。なんか読み返すと、自分が必要と感じたことしか書いていないな。まあblogなんて、そうやって続けていくものだろうと言い訳をしてみる。
トークが終わったあと、店内をうろついていたら、始まる前には置かれていた幻冬舎文庫の『ビフォア・ラン』と『幼な子われらに生まれ』(7月終わりの2刷のもの)がなくなってた。隣の『四十回のまばたき』がまだあったことからすると、誰かが買っていったのだろう。