篠原哲雄監督作品2本

早稲田松竹にて『天国の本屋〜恋火』『深呼吸の必要』の2本立て。学生料金1100円。
天国の本屋〜恋火
見終えたあとでパンフを読んで知ったのだが、『天国の本屋』、『恋火』という2冊の本をひとつにまとめて映画にしたそうだ。(ふたつの本を組み合わせて脚本を書いたのは狗飼恭子
天国の本屋では、人に読んでもらいたい本を持参すると、店員が朗読をしてくれる。そんなところに突如、店員として連れてこられた町山健太(玉山鉄二)はある時、現世で憧れていたピアニスト桧山翔子(竹内結子)と出会う。彼は桧山翔子が死ぬまで作っていた未完の曲を完成させてもらおうとする。これが天国での話。映画は天国と現世で平行して進む。現世では長瀬香夏子(竹内結子=1人2役)が花火大会を企画し、数年前まで評判だった恋する花火を打ち上げようとする。しかしこの花火を製作していた職人は、花火大会のアクシデンとで桧山翔子をだめにしてしまった影響で、現在は花火とは無関係の仕事をしている。そんな彼になんとかお願いして花火を作ってもらいたい。それが現世のストーリー。
天国と現世が絡み合うのが面白く、また松任谷正隆が担当している音楽がよかった。耳でも楽しめる映画だと思う。

深呼吸の必要
同名の詩集に影響されて製作された映画。(ストーリーはまったくのオリジナル)男3人、女4人がさとうきびを刈るバイトをするために、沖縄にやってきた。ただそれだけの話だけど、やっぱりこういうことをやりにくるからには、それぞれ胸の内で抱えているものがあるわけだ。例えば成宮寛貴演じる西村大輔は球児としていいところまでいったが、限界を知ってしまいどうすることもできなくなってしまった。彼は時に生意気な発言をする(役柄としては『高校教師』みたいな感じ)のだが、そういう役をやらせたら成宮寛貴の右に出るものはいないんじゃないかと思わせるほどの好演。土居加奈子(長澤まさみ)は、周りに対して気後れしてしまう少女を演じきっていて感心した。そして香里奈。『天国の本屋〜恋火』に続いて彼女を見ていたわけだが、すっかり虜になってしまう。このような役者のレベルが高く、大満足の作品。こちらは小林武史が音楽を担当している。彼らしくていい音楽。