近ごろ、将棋にはまっている。だから、折にふれて棋書の感想などを書いたりしようかなと思う。
将棋熱が生じたきっかけは、将棋ウォーズというアプリ。入れて以来、ほぼ毎日やっている。
ヤフーモバゲーの将棋と違っていいのが、相手の設定を自動でやってくれるところ。対局ごとに、級や段があがるわけだが、そのクラスに応じた相手を見つけてもらえる。だから、買ったり負けたりがちょうどいい感じ。私は現在、71勝73敗ぐらい。マッチングがいいから、拮抗するわけだ。

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そもそもの将棋歴を話すと、始めたのは小3か小4。学校で流行ってたので、親に将棋盤を買ってもらった。
とはいえ、子どもの遊びなどすぐに移り変わるわけで、半年もしたらやらなくなったと思う。代わりにチェスをよくやった。
将棋との縁が再びできたのは、中3のとき。将棋部に入って、活動が週3回。
部員は3学年で25人ぐらいいて、顧問の先生をマッチング役にひたすら対局。独自の級位システムがあって、そのクラスの差により、何枚落ちで指すか(あるいは平手か)が決まった。
正直いって、力はあまりつかなかった。理由は、駒落ちの指し方がわからなかったのがひとつ。いまなら、それ用の本で勉強できると知っているけどね。
もうひとつは、入門書に書いてあることがのみこめなかった。たとえば、囲いがいくつも紹介されていて、初手からのプロセスが書いてあるわけだが、そんなのは急戦を決められてしまえばパーである。
だから囲いの羅列よりも、急な攻めをどう受けるかのパターン集こそが、入門書には必要なのではないだろうか。29歳のいま、そんなことを思う。

『空より高く』(中央公論新社、2012/9)

もうすぐ閉校となる高校の、最後の3年生たちの物語。初出は2005年の読売新聞。連載時にも読んでいたが、それほど大きな違いはないように思う(後述)。
感想はストーリーが再読でも面白く読めたのと、あとは重松清の考えがつまってるなあと。ごはんが食えてりゃ幸せだ(p.269)とか、「夜空ノムコウ」に対する思い入れ(p.257-)とか……。歌詞の「全てが……」は、「自分の小説(で書いていること)のすべて」だと以前いっていた。

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奥付に「大幅な加筆をおこないました」とある。参考までに、連載時の章立てと、単行本でのタイトル(カッコ内)を並べてみる。

プロローグ(ピエロさんとの出会い
レッツ・ビギン(レッツ・ビギン!
ひとはみな一人では(ムクちゃんの変身
青春サバイバル(同左)
ヒコザの土俵際(同左)
帰ってきたピエロさん(同左)
ピエロさん、語る(フジトモさん、語る
ヤノジさんのVサイン:単行本のみ)
トンタマ・ジャグラーズ始動(トンタマ・ジャグラー
小春日和(単行本にはなし)
ドカの崖っぷち(同左)
俺たちの旅オレたちの旅
俺たちはピエロだ!(オレたちはピエロだ!
前略、未来さま(同左)
いつか街で会ったなら(トンタマ最後の祭り

以上のとおり、改題以外に大きな追加はなく、部分部分での書き加えにとどまっていると思う。
逆に手を入れないことで印象に残った箇所がある。それは登場人物の生年。「一九八六年」(p.188)と書かれている。ということは、高校3年だと2004年になり、だいたい連載時期と一致する。2012年の高校3年生ならば1994年生まれぐらいに直してもよかったわけだが、そこは2005年の高校生であることにこだわったのだろう。

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ところで、重松清はなぜ連載を終えても本にしないケースが頻発するのか。結局のところ、お金の面で本にするモチベーションが弱いのだろう。じゅうぶん儲けて、印税をかせぐ必要がないから……。

『空より高く』書評

評者は湯本香樹実さん。タイトルは「廃校が決まった高校で」。
http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20121022-OYT8T00791.htm